易日誌　２０００．１１月

　１１月５日夕方、実家から帰るのに、高速バスに乗れるかどうかを占ったもの。７月から月２、３回
の割りで父の様子を見に実家に行き来している。最初は、バスの予約を取ったが、たいてい空いて
いて予約なしでも十分座れるので、最近は、行き当たりばったりに予約なしで乗るようになった。
　３日の行きは、「一応、満席なので、予約した人があと３人来ることになっている。その人たちが
来なかったら乗れると言われた。その時も易をとったが、方針が臨九二だったので、九二では、補
助席だなとは思ったが、消長卦だから何とか乗れるだろうと安心していた。結果は補助席に座れた。
　帰りの５日、バス停に行くとまたいつもより待っている人が多い。バスも遅れている。これはひょっ
としたらヤバイかもと思ってとったのが上記の卦。でも、恒だから、初六はまた補助席だろうけど、何
とかなるだろうと思った。そうしたら、見るからに満席。予約客だけで満席だと若い運転手はケンモ
ホロロ。予約なしの人が私を入れて４人。私は次のバスにするか、電車で帰るかしようとあっさり諦
める覚悟。ところが、後の３人（おじさんが２人、おばさんが１人）が運転手に食い下がった。
　おじさんＡ「補助席は空いてるじゃないか。乗せてくれたっていいでしょう」運転手「補助席は使わな
いんです」おじさんＡ「どうして？」おばさんＢ「前には乗せてくれたわよ」運転手「最近変わったんです。
前に補助席でいいと言ったお客さんに、予約の人が乗って来たら補助席に代わって下さいよと言った
のに、代わってくれないお客さんがいたんで、それから補助席には乗せないことにしたんです。一応
予約して乗ってもらうことになってますから。」おじさんＡ「それをしなければいいんだろ」運転手「補助
席は次のＫ停留所からでないと使えないんです。」おじさんはまだ食い下がった。「次で乗る予約者は
何人？」「２人です。」「じゃあ、補助席が十分空いてるんだから乗せてよ」。まだまだ押し問答が続く。
　バスはその時点で予定の発車時刻をかなり過ぎているというのに、乗って待っている他のお客さん
も迷惑だろうに誰も何とも言わず、じっと待っている。私は乗る乗らないはどうでもいいけど、成り行き
が知りたくてそのやりとりを聞いていた。結局、運転手が折れ、「じゃあ、補助席に乗ったなんて言わ
ないでくださいよ。じゃあ、４人ですね」（私も数に入っている！）。交渉に何も参加しなかったので、申
し訳ない感じもしたが、ちゃっかり便乗してしまいました。漁夫の利というのはこういうことを言うんでし
ょうか？ちょっと違うかな。
　恒初六　浚（ふか）く恒（つね）にす。貞しけれども凶なり。利するところなし。
　象に曰く　浚（ふか）く恒（つね）にするの凶なりは、始めにして求むること深ければなり。
　とある。期待が大きいとダメだと言っている。私が交渉に参加しなかったのがよかったのかもしれない。
おじさんはとても穏やかな言い方でねばり強く説得していった。私は何て融通のきかない運転手だろうと
カッカしてきていたから、私が参加してたら却って運転手を意固地にさせてしまった可能性は大いにある。
やはり社会的にもまれて来たおじさんはすごいよなと感心した出来事でした。

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